文学フリマに参加します。

アラビアの禁断の多数決

アラビアの禁断の多数決

演劇1・2 [DVD]

演劇1・2 [DVD]

世界泥棒

世界泥棒

http://bunfree.net/

来たる5月5日の文学フリマにて、映画美学校批評家養成ギブス第二期修了文集『クリテカ2』が販売されます。(『きれいごと、なきごと、ねごと、』終演後の会場でも販売することが決定しました。)充実の一冊です。僕は禁断の多数決「アラビアの禁断の多数決」について短いレビューを寄せました。

また、『ペネトラ4』の巻頭特集は僕も参加しました「コトバ・プレイ」。映画美学校アクターズ・コースと批評家養成ギブスとのコラボ企画。演劇と批評との関係をめぐるトークやアクターズ・コース第3回公演『美学』をめぐって発せられた言葉が収録されています。こちらのブースはエ53です。

http://spirale-gypsum.blogspot.jp/

また、『スピラレ』最新号は演劇特集なので、今回、多めに執筆しております。想田和弘『演劇1・2』論、桜井晴也『世界泥棒』レビュー、平田オリザ『S高原から』レビュー、2013年7月に新宿眼科画廊にて上演されました、戯曲「エデン瞬殺」を寄稿いたしました。

桜井晴也×綾門優季対談のロング・バージョンも載ってます。文藝賞受賞作家、桜井晴也さんのあらゆるジャンルに跨る知識を、引き出すだけ引き出しました。堂々の24000字。

『スピラレ』『クリテカ2』のブースはオ33です。16-17時は当番なので僕が売っているかと思われます。よろしくお願いいたします。



ちなみに想田和弘『演劇1・2』論の冒頭はこんなかんじです。



 平田オリザはいつ本音を口にするのか?
 平田オリザはいつ表情を緩ませるのか?
 『演劇1』『演劇2』を観ながら終始気になっていたのはその二点だった。想田和弘監督作品の観察映画シリーズには、第1弾『選挙』第2弾『精神』番外編『PEACE』第3弾『演劇1』第4弾『演劇2』第5弾『選挙2』の六本が存在するわけだけれども、純粋な観察が可能かどうかという意味では、『演劇1』『演劇2』は他の四本といささか事情が異なる。被写体の中心となる平田オリザは仕事柄、常時気を抜かずに演技をしているといっても過言ではなく、観察映画の醍醐味ともいうべき「無防備な顔」が全くといっていいほどさらけ出されない。唯一、稽古と稽古の合間の休憩で仮眠をとる平田オリザの寝顔はさすがに「無防備な顔」と呼んでいいだろうが、起きて動いて喋っているときには本心を覗かせる隙をみせない。たとえば『選挙2』では市民に笑顔をふりまいていても、想田和弘がカメラを持って近づくと即座に舌打ちや罵倒を送る、といった選挙という現場の裏表が垣間見られた。しかし『演劇1』『演劇2』ではパーティーであろうと稽古場であろうと、平田オリザの態度に、これといった変化はみられない。もちろん演劇という現場の裏表は映り込んでいるけれども、5時間42分のあいだ、遂に一度も平田オリザの裏表は姿を現さない。平田オリザの「オフ」の状態は、眠っているとき以外映り込まない。常にスイッチは「オン」なのである。『精神』では、感情がむきだしの状態と、魂を抜かれた状態が、極端な形状で露出する瞬間があった。ここで問題となってくるのは、平田オリザのあの穏やかで優しく静けさを帯びた表情が、魂を抜かれた状態ではなく、感情がむきだしの状態にむしろ近い、ということである。それは平田オリザの主宰する青年団の演劇の特徴とも響き合う現象だ。………